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ピエール瀧はどんぐりおじさん

vol.105 サバサバさばいてサッパリパリ!

「WE!」2013年4月号掲載



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3度目のWBCは残念ながら準決勝で敗れてしまい、3連覇の夢は叶わなかった侍ジャパン。
その侍ジャパンを見ていて改めて感じたこと、それはマー君(田中将大)のマウンドさばきはやっぱり素晴らしいという事。
このマウンドさばき、野球を良く知らない皆さんのために説明すると、ピッチャーが投げるマウンド上での立ち振る舞いのことです。
野球というスポーツの性質上、ピッチャーは守りの際の最重要ポジションです。“守る”という概念とはうらはらに、バッターを“攻撃”して打ち取るという特殊な役割でもあります。
このため、ピッチャーはチームが守りをやっている際には大事な顔になるわけです。対戦相手のチームとしてもその顔を攻略していくという構図です。
この時に、ピッチャーがアワアワした態度だったり、落ち着きがなかったり、不安そうにしていると、相手につけいる隙や、「いける!」という思いを抱かせてしまいます。
マー君のようにどっしり且つ攻撃的なオーラをまとったピッチャーだと、守る方にも攻撃的に守ろうという姿勢が芽生え、試合運びにおいて効果的です。
このように、実は重要な要素のひとつであるマウンドさばき。マー君以外に格好いいのは、現役だと松坂やダルビッシュ。過去の選手だと桑田なんかもそうです。
達観したようなオーラをまとい、たとえホームランを打たれたとしても、「ふーん、ホームランね。やるじゃない。でも次はきっちり打ち取りますよ」という面構えで次打者に冷静に対応してくれればチームが浮き足立つ事はありません。要するにピッチャーとは腹づもりを敵にも味方にも探られてはいけないポジションなのです。しかし、そこで下を向いてしまったり、明らかに呆然としていたり、「マウンドの踏み込みが…」みたいな感じでマウンドを夢中でならしたりし始めると、その不安要素がチーム全体に伝染していきます。
この立ち振る舞いですが、他のスポーツにも該当する人々はいます。例えば朝青龍の土俵さばきは惚れ惚れするモノがありましたし、猪木のリングさばきは芸術の域に達していました。あとは永ちゃんのステージさばきとか。
これらを総合して考えると、一流のさばきの技術を持っている人々はなんだかちょっと孤独に見えます。他を寄せ付けないという意味では敵味方の分け隔てがないようです。やはり特殊な人々ですね。