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ピエール瀧はどんぐりおじさん

vol.101 現代のブラックボックス

WE! 2012年12月号掲載



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日常的に使っているなんでもない言葉でも、よく考えると「なんじゃそりゃ?」と思うモノは結構あります。
例えば「チャンネルを回す」とか「電話でダイヤルする」とかです。
これらの単語は、機器の進歩により時代遅れになってしまったモノなので仕方が無い部分もありますが、それ以外に「もうちょっと妥当な表現はなかったのか?」と思うモノもあります。
例えば「チンする」。
これは電子レンジで食べ物をあたためる時に使う表現ですが、表現があまりにも稚雑。チンはただ単に終了の合図で、現象ではありません。
まあ、元々マイクロ波を食物に当てるとあたたまるという、素人には何がおきているのかさっぱり判らない仕組み(ほぼ魔法)の電子レンジですから、正確に「ちょっとマイクロ波あててくんない?」などという野暮ったい言い方は恐怖を増幅させるだけでどうかと思いますが。
そもそもこの電子レンジ、元々はレーダー技術に用いられていたマイクロ波を研究していた研究者が、ポケットに入れておいたチョコバーが溶けている事から偶然発見した技術だそうです。「何その研究環境!危ねえっつーの!ホントは武器開発してたんでしょ!」とツッコミを入れたくもなりますが、おかげで現在ではホカホカの弁当や昨日の残り物を気軽にかっ食らう事が出来る様になったので良しとしましょう。
和名の『電子レンジ』は、当時国鉄の新幹線の食堂車に設置する際、国鉄の担当者がテキトーに付けた名前らしいです。
現代社会にとってかかせなくなった電子レンジが、偶然&テキトーの産物によってここまで普及したのは大変興味深い話で、なかなかじんわりキます。
さて冒頭で疑問を呈した「チンする」ですが、この「チ〜ン」と鳴る機能は最初に電子レンジが市販された際には付いていなかったそうです。そのせいで調理が終わったにもかかわらず、そのままほったらかしにしてしまい料理が冷めてしまう現象が続出したとの事。よって、調理終了の合図としてベルが搭載されたそうです。
ここでオイラふと思ったのですが、この「チンする」。英語ではなんと言うのでしょう?
ネットで調べてみたところ、「microwave」という身もふたもない言い方が一般的であるとの回答を得られました。Microwaveを動詞として使えば通じるらしいです。
しかし、「これではなんか科学的すぎて物騒すぎる」。
そう思ったオイラは友人のネイティブの奴らに片っ端から電話して他のいい方が無いか聞いてみました。
彼ら曰く、フランクな言い方として他に「nuke」(核)や「zap」(電流を通す)という言い方もあるそうです。
結局調べれば調べる程【よく解らない魔法の箱感】が増してしまった電子レンジ。確かに便利ですが、オイラの場合は今回のリサーチによって、若干怖さが増す結果となりました。