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ピエール瀧はどんぐりおじさん

vol.99 なりきり博物館

WE! 2012年10月号掲載



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皆さんはモーションキャプチャーという言葉を知っていますか?
モーションキャプチャーというのは、コンピューターグラフィックスの業界でよく使われる技術の事で、簡単に言ってしまうと、人間の動きを記録する技術の事です。
体の各部分にセンサーを付け、特殊なカメラの前で動作をすると、体の各部分がどうやって動いたかをコンピューター上に記録できるのです。
それまでは膨大な時間を欠けて手作業で動きを付けていたCGが、この技術によって短時間で滑らかに動かせる様になりました。しかも、オリジナルの人間とまったく同じ動作をコピーできるので、動きが非常にリアルに表現できるという利点もあります。
実はオイラもこのモーションキャプチャーを体験した事があります。
電気グルーヴの『Nothings Gonna Change』という曲のプロモの中に、女の子を手のひらに乗せた巨人が立ち上がるシーンがあるのですが、あれ実はオイラが演じています。
さて、この技術が一般化されてから随分と時間が経ちますが、いまだにゲームや映画の業界で見かける事がほとんどです。つまり商業用。
そこでオイラ思うのですが、もっと科学的&人類学的な見地に立って、様々な人々の動きを記録して、アーカイブしていく事はできないものでしょうか。
例えば、解りやすいところでいうとイチロー。
イチローの打席に入る仕草から、打って走る所までのあの独特なフォームをキャプチャーして記録するわけです。これによって手に入るのは動きのデータですから、もし将来プログラミングによって動きを再現できるロボットギプスのような物が開発されれば、イチローのバッティングを身をもって体感できるという訳です。年代別とかで。どうです?やってみたくないですか?
同じ意味で野茂の全盛期のフォームも記録しておけば良かったと悔やまれます。あとマイケル・ジャクソンのダンスとかも。
このあたりの人々ならば、もしかしたら既にデータをキャプチャー済みなのかもしれません。ゲーム会社等をあたってみる価値はありそうです。
しかし、もう亡くなっている人々の場合それはかなり困難です。
ベーブルースのバッティングフォーム、ジャイアント馬場の16文キック、カラヤンの指揮の動き、ジミヘンのギタープレイ、マルセ太郎の猿のモノマネ…。
これからは国がお金を出して、こういった世界レベルの人々の動きをアーカイブしていって、最終的に『モーション博物館』を作ったらいいのにと思います。
そこを訪れれば、有名人の動きを通してすっかりその人の気分になれるという訳です。
もしそうなったら、オイラが一番やってみたいのは三冠王の時の落合のフォームです。何かが開眼する可能性大な気がします!