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ピエール瀧はどんぐりおじさん

vol.96 カーキャバの提案

WE! 2012年7月号掲載



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最近夜中に住宅街を歩いていると、車を自部屋替わりに使ってくつろいでいる人を良く見かけます。
駐車場でエンジンをかけっぱなしにして、ナビのモニターでテレビを眺めていたり、煙草をくゆらしたり、雑誌をパラパラやっていたり、缶コーヒーをすすったりしている事が多いこの人々。
実状はおそらく「女房子供が寝付くまで居場所がない」だとか「赤ん坊優先の生活サイクルなので仕方なく」だとか「単純に家に帰りたくない」「嫁に家を追い出されてショボンですわ」「サせてくれないからプチ家出中」と理由は様々でしょう。
と言っても、夜中に駐車場方面からボボボボボとエンジンの音が聞こえて来るので、近所の人にとっては若干の迷惑かもしれません。また、エコの観点からも「アイドリングするなって言ってんだろ!」とお叱りを受ける事は容易に想像できます。
しかし、オイラは彼らをそういった理由で追いつめるのには反対です。むしろより快適な環境を提供できないものかと検討してみましょう。
そもそも大の大人が車中で一刻を過ごせるワケですから、これは最近の車の居住性が高まったとも言えます。
人間工学に基づいたシート、快適なエアコン、5.1chナビシステム。これらの装備は、ひょっとしたら積み木が散乱し、子供の奇声が飛び交う手狭なリビングよりも快適なのかもしれません。
あとはそこでの過ごし方。
ひとりでスマホをチマチマいじっていたりすると、だんだん暗い気持ちになって行くのは目に見えています。ここは一発「ああ車の中で良かった」と思わせたいモノです。
そこで提案。車中専門の出張キャバクラ嬢的なモノはいかがでしょう?
約束の時間になると指定の駐車場に現れ、しばらくの間話し相手になってくれるというシステムです。エンジンを止めてさえいればビールの2本や3本くらいなら飲んじゃってもいいかもしれません。
その昔、今の女房がまだ彼女だった頃、峠のドライブインの駐車場で多くを語り合ったあの頃の感覚を疑似体験できるという訳です。
一緒にお気に入りの映画を観るもよし、悩みを相談するもよし、エロ話に花が咲きすぎた結果として、帰宅後女房のベッドを襲撃するのも良いかもしれません。あとはピザとったりするのも楽しそうです。最近はピンポイントで配達してくれますからね。
このシステムに名前をつけるとしたら『カーキャバ』ですかね。うわ、急に下品な感じがしてきました。もうすこし詰める必要がありそうですね。